土地購入のポイント

東京都内において、土地から購入して一戸建て注文住宅を建築する場合のポイントを以下に掲げます。特に都心部の狭小地(狭小住宅)の場合、建築基準法・都市計画法による制限により、希望する建坪(延床面積)が建てられなかったり、建築工事費のアップに繋がる事項が多いので注意が必要です。

①道路による高さ制限:敷地に接する道路の反対側の境界線からの距離をLとすると、住居系用途地域の場合1.25L以下、その他の用途地域の場合1.50L以下の高さに制限を受けます。建築できる建坪に影響を与える事項なので注意が必要です。

②高度地区による高さ制限:東京都内では真北方向の隣地境界線又は道路境界線からの距離をLとすると、第1種高度地区では5m+0.6L以下、第2種高度地区では5m+1.25L以下、第3種高度地区では10m+1.25L以下、の高さ制限を受けます。第3種高度地区の場合は立ち上がりが10mあるため3階建までの場合、全く問題はありませんが、第1種高度地区及び第2種高度地区の場合には注意が必要です。この高度地区の規定も、建坪に対し影響を与えます。

③建ぺい率による制限:建ぺい率とは、敷地面積に対し1階に建てられる(厳密には1階だけとは限りませんがここでは話を簡単にするため1階としておきます)建坪のことをいいます。建ぺい率が70%くらいまである場合は、あまり計画上問題にはなりませんが、60%以下であると思うような建坪が建てられなくなってしまう場合があるので、注意が必要です。

④容積率による制限:容積率とは、敷地面積に対してその敷地面積の何倍まで建物を建てられるかという規定です。例えば容積率200%といった場合、その敷地の2倍まで建物が建てられることになります。この数値が160%以上ある場合には、あまり計画上問題にはなりませんが、それ以下となった場合には、必要な建坪が建てられなくなってしまう場合があるので、注意が必要です。

⑤準防火地域による制限:準防火地域とは、東京都のような密集地域に対し、建築物の防火耐火性能をアップすることの規定です。購入する地域が準防火地域に指定されていると、若干ではありますが建築工事費を上げる要因となります。ただし、上昇幅は坪単価5万円前後であることと、東京都内では殆どが準防火地域又はそれに近い防火の規定があるので、東京都内の建築工事費にはこれらの影響が既に反映されております。

⑥防火地域による制限:防火地域とは、防火耐火性能に大変厳しい制限を規定している地域です。この地域で3階建以上又は延床面積が100㎡を超える建物を建築する場合、耐火建築物にすることが規定されていますが、耐火建築物とする場合、建築工事費の坪単価が10~15万円アップしてしまいますので注意が必要です。

⑦前面道路の幅員と接道長さ:東京都内ではなかなか難しいのですが、購入しようとする土地の前面道路の幅員は6m前後、接道長さ(間口)は5m以上の土地を選択することをお勧めいたします。狭小敷地では、特に、採光について建築基準法上の有効採光面積という計算をしなければなりませんが、道路幅員が狭いと、なかなか良好な計算結果が得られなくなります。まだ、間口が狭い(所謂、ウナギの寝床ような土地)の場合も、やはり良好な結果が得られません。ただし、前面道路の幅員は広ければ広いほど、一戸建て住宅にとって好ましいとは限りません。一般に8mを超えるような幅員の土地は、今度は交通量が激しいなどの要因で、静かな生活が脅かされるおそれなども発生いたします。